違和感の正体を知り、安全な海鮮料理を楽しむために
みなさん、こんにちは。
今回は真面目なお勉強会です。
タイトルにもある通り「魚アレルギー」についてです。
海鮮料理を提供しているお店なのになぜこの話なのか、そう思った方も多いでしょう。
私の話しにはなりますが、ちょうどこのブログを書く一週間前に知人と会いました。
その子のお友達が「魚アレルギー」と話しを聞き、ほんまに色んなアレルギーがあるなぁっと思いました。
卵や乳のアレルギーはよき聞きますよね。それらに比べたら、比較的稀なアレルギーだそう。
私も初めて聞いたくらいですから。
まず、魚アレルギーの原因となる魚は以下になります。
「サケ・マグロ・イワシ・カレイ・アジ・タイ・タラ・ブリ・サバ」
日常的に食べる魚ばかりです。
先ほども稀だと書きましたが、日本では、食物アレルギーの5%ほどしかありませんが、
スウェーデンでは子どもの食物アレルギーの39%を占めていますので、国によって様々です。
魚を食べて、以下のような症状が出たことがあれば、「魚アレルギー」の可能性があります。
・蕁麻疹
・顔が赤くなる
・目が赤くなる
・まぶたが腫れる
・咳、喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒュー)
・アナフィラキシー
・アトピーの湿疹がひどくなる
魚アレルギー体質の場合、1種類の魚だけに限定されず、いくつかの魚でアレルギーを起こします。
アレルギーの原因は、魚の筋肉に含まれる「パルブアルブミン」というタンパク質なのですが、
この「パルブアルブミン」は、ほとんどの種類に含まれています。
さらに、魚のコラーゲンもアレルギーの原因になります。
このように魚に共通する成分が原因になるために、多くの種類の魚でアレルギー症状を起こすことになります。
ですがアレルギーかもって思って検査したけど、魚アレルギーではないこともありあります。
魚アレルギーに似ているのに違う2つのケースについて解説します。
〇「アレルギー様反応(仮性アレルギー)」
名前の通り、アレルギーではありません。
鮮度の落ちた(古い)魚を食べると、食べた直後から3時間後に、
蕁麻疹、顔の腫れ、発汗、頭痛、吐き気などの症状が起こってきます。症状はアレルギーに似ています。
しかし、これは体がアレルギー反応を起こしたわけではありません。
魚に含まれるヒスチジンというアミノ酸が、魚についた微生物でヒスタミンに変わるためです。
ヒスタミンは、アレルギーの症状を起こす物質です。
つまり、体がヒスタミンを作ってアレルギーを起こすのではなく、
外からヒスタミンが入ってアレルギーに似た症状を起こすので、アレルギー様反応(仮性アレルギー)と呼んで区別します。
ヒスチジンを多く含む魚は、サバ、サンマ、カツオ、イワシ、カジキ、マグロなどの赤身の魚です。
ヒスタミンは加熱しても安定ですので、調理品でも危険です。
古い魚を食べると、魚に対してアレルギーがない人にも起こりうるのです。
〇「アニサキスアレルギー」
「アニサキス」は魚の寄生虫です。寄生した魚を食べると、胃で暴れ、腹痛の原因になります。
これをアニサキス症といって、実際にアニサキスを内視鏡で取らないといけないので、大変です。
この寄生虫アニサキスに対してアレルギー反応が起こり、蕁麻疹などの症状が出ることがあります。
アニサキスが寄生していない魚なら、アレルギー症状が出ないので、魚アレルギーとは区別します。
アニサキス自体は冷凍や加熱に弱いのですが、アレルギーを起こす力は加熱しても残りますので、加熱した魚でも起こります。
血液検査で、アニサキスに対するIgE抗体を測定します。
陽性ならアニサキスアレルギーの可能性が高いです。寄生虫なので皮膚試験は推奨されません。
海鮮料理を食べて、少しでもいつもと違うなっと思ったら、医療機関で適切な処置や、原因を聞くことを推奨します。
令和2年度第3次補正 事業再構築により作成